消費増税への国民の理解 - 経済を良くするって、どうすれば
大平首相の増税策は、前の福田首相の大規模な財政出動の反動でもある。実は、福田が財政赤字という犠牲を払い、何とか日本経済を持ち上げていたことが、第二次オイルショックを軽症で済ませる要因ともなった。諸外国のダメージは日本以上に大きく、福田政権での余熱が引き締めを可能にしていた側面もあるのである。日本の財政当局や有識者は、増税に関して、こうした経済的な問題を視野の外に置いている。あたかも、政治が決断し、国民に理解させれば、実現できるかのようだ。現実には、経済的に苦しければ、国民はダメ出しするという、それだけのことである。景気が上向きの1996年に、橋本首相は、消費税を抱えても総選挙に勝ち、その後、消費税に悪乗りした無謀な緊縮財政を敷いて経済を壊し、1998年の参院選で惨敗するのである。
今日の日経では、「年金債発行へ、消費増税で償還」という見出しが躍っている。「借金」をして、年金積立金という「貯金」をしようという奇妙な経済政策は、11/13に解説したように、年金を人質にとって無理にも消費増税を果たそうとするものだ。財政当局の戦略がいよいよ動き出した。これから、欧州に端を発する経済危機が深まる中で、どこまで国民が理解してくれるか、見物である。
野田首相は、財政当局のシナリオに乗り、2015年までに10%にしたいようだが、再来年の2013年度の経済見通しは、10/18で説明したように、1.4%成長といったところだ。これでは、1%の増税ですら厳しい。残り2年で10%まで上げるのは、奇跡に類する話だろう。芹沢さんには、こんな経済状況で、どうすれば増税できるのか聞いてみたい。これで無理押しすれば、芹沢さんが言う「政治ドラマ」が勃発するのは確かであるが。
日本の財政当局は、「どうせ日本は成長しないのだから、景気がどうだろうと増税する」という敗北主義である。教科書に答えがなければ、いとも簡単にあきらめるエリートの甘えを、国民が許すはずがない。「日本のリーダーなら、成長の答えを見つけて来い。大事をあきめて、増税など出来ようか」。それが国民の理解というものであろう。
景気がダメな時に増税で選挙をするのは愚策。
だが、そうなる。