「3年以内」の根拠は、財政当局がよく使う、国の債務が家計貯蓄を上回るという「例のもの」で目新しさはない。これは、切迫感を煽るのに手頃というだけで、いまや企業部門が大きな貯蓄主体になっていることを踏まえれば、家計貯蓄を超えたからといって、どうということはない。さて、それでは、この先、「どうなる」のだろう。
一番ハッピーで、結構ありそうなシナリオは、「何も起こらない」である。国債の保有者は、突き詰めれば、国内の高齢者である。もし、彼らが、国債を抱えたまま、寿命を迎えるとしたら、国債は相続税で回収され、それで終わりである。これからすると、「どうする」は、相続税に穴を開けておいてはいけないということになる。
次に、最も現実的なシナリオは、高齢者が徐々に貯蓄を取り崩して生活するようになり、国債を買わなくなるという事態である。こうなると、財政赤字は出せなくなるが、代わりに高齢者の消費が出てくるわけで、景気は良くなってくるだろう。問題は、消費が過熱しすぎる場合だ。その時には、冷却に絶大な力を発揮する消費税の出番である。これが財政再建になることは言うまでもない。
そして、ほとんどあり得ないのは、パニックで国債が暴落、金利が急騰することである。どんな健全な銀行でも、うわさで取り付け騒ぎが起こると破綻してしまう。こんなときこそ、日銀の出番であり、市場で国債を買い入れ、事態の収拾にあたることになる。むろん、通貨供給が過剰になり、インフレに発展する恐れがあるが、その際は増税でマネーを吸収する。
ちなみに、金利が急騰すると、利払いだけで財政が破綻するというような人もいるが、利子課税があることを忘れてはいけない。本当に、心配なら、消費税の計画を立てるより、税率を20%から25%に引き上げておくことだ。そうした工夫で、利払費以上に税収が上がるような仕組みにすることは可能なのである。
おしまいに、何よりありがちなシナリオは、財政赤字への罪悪感と焦燥感から、無理な増税と緊縮を行って、経済を縮小させてしまうことである。分母が小さくなるために、財政赤字のGDP比は、かえって高くなり、家計と企業の所得が減少し、肝心の貯蓄が消えていく。「3年以内」と焦ってやった結果がこの始末である。企業の設備投資が弱り、成長の見通しも失われ、銀行には不良債権が発生して、パニックの引き金ともなりかねない。
結局、「どうする」については、成長率や物価上昇率を見ながら、経済状況に合わせて財政再建を進めていくという平凡な結論なる。あわせて、将来に備え、法人税も含む資産課税の体系を整えておいたり、タイミング良く消費税を上げられるよう条件を詰めておいたりすることも大切である。