財政の崖(フィスカル・クリフ)とは | お金と経済のいろいろ

2000年代に始まった所得税などに対する大型減税策、いわゆる「ブッシュ減税」が2012年末に期限切れ。

そして、2011年にアメリカの債務上限が問題になった際に2013年1月からの強制的な予算削減が決まっている。
(国防費を中心に10年間で最大1兆2000億ドルの歳出が強制削減)
2013年から、減税が切れ「実質的増税」と「強制的な歳出削減」のダブルパンチで崖から落下するような急激な財政の引き締めが起こってしまう可能性があること
減税と歳出削減が同時に起これば、2013年1月から最大約4100億ドル(GDP比2.7%)の財政緊縮となる。
ブッシュ減税:最大2000億ドル
給与税減税:約1000億ドル
歳出カット:約1100億ドル

アメリカの議会予算局は「2013年前半に、景気後退局面に陥る。」
としていて、
FRBバーナンキ議長も、財政の崖に対して警戒感を示しており、6月に何らかの追加緩和策を打ちだすと見られる。

今後の状況は、11月の大統領選、議会選挙によって左右される。
連邦議会選挙では、下院全435議席、上院が100議席のうち1/3が改選される。
現時点で議会選挙は、共和党が有利でブッシュ減税がすべて終わってしまう事態にはならなさそう。
しかし、選挙が終わってから年末までに政治的決着は困難との見方もあり、一時的に「財政の崖」が起こってしまう可能性もある。

11月まで、まだまだ相場の乱高下が起こりそうですね。

 

サルから見た消費税(1)

最近の欧州の様子を見ていると、「緊縮財政こそが善」という風潮が変化してきているように思う。財政赤字の削減は必要でも、マイナス成長に落ちるようでは、市場から成長力を不安視されて、かえってリスクプレミアムが高まるし、マイナス成長では、ただでさえ脆弱になっている金融システムが持たなくなる。日本は、このまま行くと、欧州での実験の失敗が明らかになったところで、同じ轍を踏むことになりかねない。
おそらく、これからの議論は、成長を阻害しないほどの緊縮財政がどの程度のものかという平凡なものに向かうだろう。もしかすると、米国で「財政の崖」という壮大な実験の結果も参照できるかもしれない。その点で、日本の財政当局は、早急なプライマリーバランスへの回復を至上命題としているが、既に、成長率を落としたイタリアでは、PBが黒字でも危機になることが分かった。本質は、そこではないということだ。

欧州が教えてくれるのは、成長と財政再建の両立を粘り強く求めていかなければならない、という現実。

ケインズ政策の内実

その昔、「公共事業はムダだから、代わりに中高生の全員にパソコンを配ってはどうか」という珍説があったが、兆円単位でパソコンを供給するのは無理だし、できたとしても、需要の急増急減によって業界を壊してしまう。企業で購買を担当されている方なら御存知だろうが、個人と違いマクロでは、カネさえ出せば供給を受けられるというものではない。
………
ケインズ政策で大事なことは、途中で抜かないことである。ケインズ政策の真価は、底を作ることだからだ。1930年代の大恐慌の教訓は、財政まで赤字から逃げると、文字通り、経済の底が抜けるデフレスパイラルに陥ることだった。そこまで極端でなくても、ちょっと良くなったところで財政再建に走り、二番底をつけるのは、いまだに繰り返される悪手である。「ケインズ理論に効果なし」といった過小評価が陥る罠と言えよう。

(中略)

昨日の経済教室で日経センターの愛宕伸康さんは、「企業は売り上げが振れるほど、設備投資を削減する」と指摘しているが、ケインズ政策のポイントは、需要の底を作り、安定させることである。これが企業のリスク感を癒し、成長への期待を与え、設備投資を呼び覚ますのである。即効を求めてもいけないし、忍耐強さも欠かせない。ケインズ政策の内実とは、このようなものなのだ。

(中略)

欧州にしても、南欧における財政再建で、マイナス成長を呼ぶようではやり過ぎである。ドイツの長期金利の異様な低さは、ドイツが欧州のために、需要を下支えしたり、投資をしたりすべきことを示している。米国について言えば、忍耐を重ねて、何とか緩い回復へと持ち込んだのに、共和党は、これを壊すような「財政の崖」を用意しようとしている。


政府は業界を破壊してはいけない。
エコカーやエコポイントの助成も、中途半端なところでやめたために、その後、売上が急減、業界の設備投資意欲をしぼませることになった。
ケインズ政策はやりすぎもダメだが、ケチすぎてもダメ。