不公平とパイの分け方 - 経済を良くするって、どうすれば
高齢者への社会保障給付は、2009年度に2.5兆円増えた。もし、日本経済が2.1%成長をするなら、GDPは11.3兆円ほど増えるから、給付増はその22%に当たる。高齢者の人口割合は23%(2009年)ほどであり、人口比に従って増加分の「パイ」を分けると考えれば、それほど「不公平」な感じはしない。もちろん、経済成長が0.5%しかなければ、「パイ」のすべてを高齢者に持っていくことになるから、これは「不公平」だということになろう。痛みを分かち合おうというのも理解できる。こうしてみると、世代間の「不公平」論は、経済が成長しないことへの不満の矛先を、世代や社会保障に向けさせるものであることが分かる。
先ほど、「2.1%成長をするなら」と書いたが、これは、2003年度以降の平均値である。ただし、リーマン・ショックの2年間は除いたものだ。つまり、平時なら、日本は、これだけの成長ができるということだ。成長を果たした年においても、稚拙な緊縮財政で内需を阻害していたから、そんなことをしていなければ、もっと成長率は高かったろう。
例えば、2010年度は、マイナス14兆円の度外れたデフレ財政が試みられたにも関わらず、外需が好調だったこともあって、2.4%成長を達成した。さすがに、年度後半は、マイナス成長に沈んだが、内需寄与度は1.5%もあり、財政当局のイジメが軽ければ、4%近いV字回復もあり得ただろう。外需の好調時に、隠れて緊縮をし、潜在力を潰すのが、日本の財政当局の得意技である。世代間の損得の勘定より、財政運営の監視の方が遥かに重要だ。
今週の日経ビジネスの特集の「長寿がひらく未来」では、長野県泰阜村という山村が登場するのだが、高齢化のピークは過ぎて、高齢者の数が減り始めたという。実は、全国でも、高齢者数の急増は、あと3年ほどであり、その後は増加が鈍り、安定し始める。高齢者給付の人口要因による大幅な増加は、まもなく終わるということだ。そうなれば、「パイ」の配分の問題は、更に薄らいでいくだろう。
むろん、医療・介護に費用がかかる75歳以上の後期高齢者の急増は続くが、年金給付の50兆円に対して、医療給付は1/5、介護給付は1/7である。大半を占める年金給付は、成長して物価が上昇すれば、毎年0.9%の削減がかかることになっている。こういう観点からも、成長というのは大切なのである。
少子化を抜け出すか、経済成長をすれば、日本のかかえている問題は解決できる。
