金融そして時々山: 投資家に逃げ場なし

国債についていうとエコノミスト誌は英国国債の例をとり、現在の2.5%という利回り水準は1946年と同じレベルで、その時長期国債を買った人はその後28年間に実質価値ベースで国債価値の4分の3を失った(インフレと金利上昇が進行した)と述べる。また金については前回のピークは1980年だったが、その後20年間で価値は3分の2下落した。

株式については自明のことだが、重要なことはスタート時の配当利回りと配当の成長率だ。米国株を例に取ると配当利回りは1%で、配当の成長率については1.4%合わせて3.5%程度ではないか?という実証的研究をエコノミスト誌は紹介していた。

資産運用の利回り目標は、長期金利を目安にすること。
それが史上最低レベルで推移している以上、世界全体が「現金最強」時代に入ったのかもしれない。

第273回 世紀の大実験:QE2 - 堀古英司の「米国株式の魅力」 - 楽天ブログ(Blog)

株式は短期資金が流入しやすい一方、長期性の資金は入りにくい状況となるでしょう。QE2によって長期金利が下がりにくくなるのは容易に想像が付きます。現在のように、10年債利回りと30年債利回りの差が1.6%にも拡大するのは、1970年代以降初めての事です。アメリカ経済にとってのアキレス腱である住宅市場に与える影響は無視できなくなるでしょうし、満期まで10年の証券より30年の証券の方が売られているのですから、中長期的には、満期のない証券(株式)も楽観視できないはずです。

しかし短期性の資金はそういう事もお構い無しに暴れてくる可能性があります。投資家が短期性の資金で何かやりたい時に典型的なのは、最近パフォーマンスの良かった銘柄をさらに追いかける事です。この結果、パフォーマンスの良い銘柄に資金が集中する傾向があります。これは実際、1999年にY2K問題を見越して各国中央銀行が金融緩和を行った際にも起こりました。もちろん、当時の例に照らせば深追いは禁物という事です。

もう一つ。

・ドルペッグしている国は、経常黒字で(ドル安により)価値がへる国債より、金などを指向するだろう
・長期金利が上がることで、住宅市場には悪影響を与えるだろう
・商品高が物価高に波及すれば、低金利と相まって、庶民の生活には悪影響を及ぼすだろう
・株式は短期的な利益を指向し、銘柄による格差が広がりやすいだろう

こんなところか。

第259回 2%成長下の株価上昇はない - 堀古英司の「米国株式の魅力」 - 楽天ブログ(Blog)

第二に、株式相場の上昇には2.7%以上の実質経済成長率が必要、という結果が出ています。従来から言われている3%よりもハードルは低かったのですが、やはり株式相場が上昇するには単に経済が成長していれば良いだけではなく、2.7%を超えていなければならないという事です。これは以下のように考えていただければ分かりやすいかもしれません。企業に収入が入ってきた時、先に給与のような労働債権への支払が優先され、次に金融機関等への優先債権、次に仕入先等への一般債権が満たされ、法人税も支払われた後、株主に分け前が残るのは最後という事です。株主より前に支払われる分を賄うために実質成長率 2.7%分は先に取られるようになっているのです。

米国の話。
でも、90年代以降、日本の株式相場が低迷していることの説明にも転用できそう。