日本よ、雪白の翼を再び - 経済を良くするって、どうすれば

少子化だが、最大の原因は、乳幼児期の保育が圧倒的に不足していることにある。現在は、子供を産むと預け先に困り、容易に仕事に戻れない。いきおい、出産か、仕事かの択一となり、子供をあきらめる人が続出して、合計特殊出生率1.3台という極端な少子化になる。ここまでは常識である。

 なぜ、乳幼児の保育が不足しているのか。これはコストが極めて高いからである。0~2歳児は、1人の保育士が3~6人の子供しか看ることができない。3歳以上になると、これが20人になる。保育所不足も、よく見ると3歳以上は概ね足りているのは、そういうわけなのだ。このコストをどう賄うか。ここで消費税を持ち出すようでは知恵がない。

 必要なのは年金数理だ。若者が働き始め、年収300万円をもらうとすると、年間の年金保険料は48万円ほどになる。6年経って結婚する頃には、若い夫婦の累計額は6×2倍の576万円になる。社会保険というのは、払った分は返ってくるのが大原則である。そこが反対給付と無関係に取られる税とは異なる。つまり、この576万円は、請求権という形ではあるが、貯金のようなものだ。*1

 これを少子化対策に使えるようにする。具体的には、乳幼児期の0~2歳の3年間、月額8万円を引き出せるようにする。子供2人分なら総額576万円である。8万円あれば、無認可保育所でも楽に預けることができる。若い母親がこれだけの支払い能力を持てば、それを目当てに次々に保育サービスが供給されるようになるだろう。これで保育所探しに駆けずり回る必要はなくなる。この少子化の最大のネックが解消されることで、出生率は大きく向上し、若者が希望する水準である1.75まで伸びるだろう。*2

 さて、こんな給付をして、年金財政は大丈夫なのか? むろん、何の問題もない。乳幼児給付を行う分だけ、老後の年金給付は減るので、年金財政上は、差し引きゼロの中立になるからだ。年金制度は十分な積立金を持っているので、当面の資金繰りにも困らない。

 それなら、年金給付を減らして、老後の生活に支障は出ないのか? 実は、576万円と言っても、老後の給付全体から言えば、15%ほどに過ぎない。それどころか、乳幼児期の給付をする方が、逆に年金額は増すはずだ。

 なぜなら、女性が仕事を辞めずに済み、より多くの保険料を納められるようになるからだ。働き続けられれば、576万円くらいは簡単に取り戻せる。もし、どうしても年金を減らしたくないのなら、引き出さなければ良いだけだ。乳幼児給付は、引き出しの選択権を与えるものなのである。*3

少子化対策の財源として、年金を若いうちに引き出せる権利を子どもを持つ若者に与える。これは妙案だと思う。

金融そして時々山: IMF対日本処方箋を読む~支出削減は限界

日本の「社会保障費」を除いた政府支出は先進国の中でも一番低いからだ。また資本財への支出も95年をピークに着実に減少している。IMFはSustainability Reportでこのことを次のように指摘している。「日本の非社会保障支出は対GDP比で16%(2010年)とG20先進経済の中で一番低く、資本財への支出も妥当な水準まで低下していて、財政支出削減の余地はほとんどない。一方税収は消費税と個人所得税の低さを反映してG20の中で一番低い

つまり社会保障費以外の支出を削減して財政健全化を図ろうというのは、実効性はなく政治家のパフォーマンス以外の効果はない。

次に社会保障費の問題について考えよう。日本の社会保障費は年間108兆円(日経新聞朝2011年11月27日朝刊)。高齢化で毎年1兆円を上回るペースで増えている。IMFは社会保障費の7割は高齢者にかかわる支出だと推定している。

今日(11月28日)の日経新聞朝刊に「社会保障の給付と負担に関する」世論調査の集計がでていた。それによると「給付水準を抑えてでも費用負担を抑えるべきだ」が47%、「費用の負担を増やしてでも給付の水準を維持すべきだ」が35%だった。

ところで日本の社会保障費は諸外国と較べるとかなり低い水準である。少し古い統計だが、2003年のOECD20カ国の社会保障費の対GDP比率を比較した資料を見ると、トップはスウェーデンの31.9%、2位がフランス29.1%、3位がドイツで28.5%、日本は16位で18.4%、米国は19位で16.6%だった。

社会保障費を「年金」「医療」「その他」に分けると、「障害・労災・傷病」を含む「その他」の分野で日本の支出が一番低いことが特徴的である。また「保健医療」に関するGDP比支出割合を見ると、日本は6.1%でOECD平均の6.3%を下回っている。

以上のことから考えると日本で社会保障費を削減するとすれば、年金給付削減に焦点をあてるしかないと考えられる。

社会保障費、とりわけ年金給付削減に手をつけられないかぎり、
増税、とりわけ消費税を上げるしかない、という話。

社会保障の思い出 - 経済を良くするって、どうすれば

公的年金の積立方式への転換論も似たようなところがあった。実は、筆者も、最初は、そうしたアプローチを取ったのであるが、早々に無理があることを悟った。積立方式にするには、貯蓄を増やさなければならないが、それを消化するには、設備投資をバブル期並みに高める必要があると分かったからである。

並みの経済学者は、年金には「積み立てが必要」とするだけで、それで生じる貯蓄が、経済全体にどう影響するかを考えない。年金制度の「戦術」しか視野にないのである。おそらく、とにかく貯蓄をすれば、市場メカニズムが働いて、投資が増大するはずくらいの認識しかないのだろう。筆者は、設備投資を伸ばすことがいかに難しいかを知っているので、とても、そんな能天気にはなれない。

緊縮財政にしても、積立方式にしても、貯蓄を余らせるような政策を取る場合には、それを吸収する投資の促進策が要る。そして、それは極めて困難であるから、現実には、自然に設備投資が出るのを待って、その範囲内でするしかない。貯蓄を余らせて、処置に困ってから、投資促進策を探すというのは、全体が見えていないのだ。

むろん、経済がインフレの状態にあるなら、遠慮なく、緊縮財政でも、積立方式でもしたら良い。ただし、それは、財政が黒字であってもすべきだし、積立が過剰でもしなければならない。経済というのは、設備投資のコントロールが一番難しいのだから、それに合わせて、運営しなければならないのである。

設備投資の水準は、労働供給量が天井となる。経済が必要とするからといって、人間の数を急には増やせないからだ。したがって、労働力が最大限に使われる水準に設備投資を持って行き、それをできるだけ保つようにする。財政や年金は、それに従属するサブシステムである。これは最大限の経済成長を持続させるということも意味する。

 

 

 

もし今の日本で、公的年金を積立方式に移行した場合(ただでさえブタ積みされてるマネーがさらに積まれるわけだから)積み立てられたお金の運用に苦しむことになるだろう、という話。

経済にとって一番大事なのは、設備投資を伸ばすための施策。

第273回 世紀の大実験:QE2 - 堀古英司の「米国株式の魅力」 - 楽天ブログ(Blog)

株式は短期資金が流入しやすい一方、長期性の資金は入りにくい状況となるでしょう。QE2によって長期金利が下がりにくくなるのは容易に想像が付きます。現在のように、10年債利回りと30年債利回りの差が1.6%にも拡大するのは、1970年代以降初めての事です。アメリカ経済にとってのアキレス腱である住宅市場に与える影響は無視できなくなるでしょうし、満期まで10年の証券より30年の証券の方が売られているのですから、中長期的には、満期のない証券(株式)も楽観視できないはずです。

しかし短期性の資金はそういう事もお構い無しに暴れてくる可能性があります。投資家が短期性の資金で何かやりたい時に典型的なのは、最近パフォーマンスの良かった銘柄をさらに追いかける事です。この結果、パフォーマンスの良い銘柄に資金が集中する傾向があります。これは実際、1999年にY2K問題を見越して各国中央銀行が金融緩和を行った際にも起こりました。もちろん、当時の例に照らせば深追いは禁物という事です。

もう一つ。

・ドルペッグしている国は、経常黒字で(ドル安により)価値がへる国債より、金などを指向するだろう
・長期金利が上がることで、住宅市場には悪影響を与えるだろう
・商品高が物価高に波及すれば、低金利と相まって、庶民の生活には悪影響を及ぼすだろう
・株式は短期的な利益を指向し、銘柄による格差が広がりやすいだろう

こんなところか。

池田信夫 blog : 「強い社会保障」より「効率的な社会保障」を

いま必要なのは「強い社会保障」などという無内容な政治的スローガンではなく、効率的な社会保障である。日本の移転給付(広義の社会保障)は年間約100兆円だが、そのうち53兆円が年金で、一般会計のうち17兆円が老人福祉。つまり社会保障費の7割が老人のために使われているのだ。このように老人に片寄った社会保障を行なっている国は少ない。

上の図(社会データ実録)はアゴラの記事のコメントで教えてもらったものだが、日本の子ども向け支出/老人向け支出の比率は先進国で最低で、ギリシャやイタリアと同類だ。そして出生率が低いのも、こうした老人バイアスと相関がある。金融資産の2/3をもつ老人に若年層から所得移転を行なうことは、逆所得分配になっている。

子ども手当よりも、
老人手当のほうが日本の財政をむしばんでいるという話。

金融そして時々山: 日本は財政赤字削減目標の例外というが・・・

G20で日本は財政赤字目標削減の足かせをはめられなかった。だがこれはG20の他の国が「日本の赤字は日本国民が背負っている。当面日本の財政赤字が国際資本市場のかく乱要因にはならないから眼をつぶっておこう」という話である。財政赤字を放置すればやがて日本がギリシアになることは避けられない。

財政赤字の延長線で今後脚光を浴びてくる(既に十分問題になっているが)のが、各国の公的・私的年金の問題、特に債務超過の問題だろうと私は考えている。幾つかの理由がある。まず先進国が財政支出を見直す中で、公務員年金の水準や拠出金額が問題になってくる。次に財政健全化が優先されるので、経済成長率や長期金利の水準が低下する。このことは運用収益の低下と年金債務の現在価値の拡大により、年金財政を大きく悪化させる。また平均寿命が延びているので、年金債務が拡大していることも大きな問題だ。

財政再建→緊縮財政→経済成長率の鈍化&株価の低迷&債券金利の低下→年金運用成績の悪化→年金債務の拡大

財政再建路線を進めても、年金は見直さざるを得ないという話。

公的年金運用の何が問題なのか? | 山崎元のマルチスコープ | ダイヤモンド・オンライン

平成21年度の財政再計算では、賃金上昇率は、平成22年度に+3.4%と急回復し、その後、平成28年度の+2.5%に向かって緩やかに下落し、この後は+2.5%の上昇が続くと想定されている。この間、物価は、平成22年度に+0.2%が平成27年度に2.5%、平成28年度以降は+1.0%の上昇が続く想定だ。これが日本経済の将来像だという。本当なら、日本国民はかなり豊かになるだろう。

対して、平成21年度財政再計算が想定する運用利回りは、平成22年度の1.8%が徐々に上がっていって、平成32年度に4.1%となって、それ以降4.1%が続くという想定になっている。現在は低金利だが、平成32年頃にまでにはそこそこに金利が上昇しているということのようだ。

平成32年度以降の世界は、物価上昇率が1.0%で賃金上昇率は2.5%、運用利回りは4.1%だから、物価上昇率を差し引いた実質運用利回りが3.1%もあるという、何やら夢のような世界が想定されている。

100年安心の正体は、年金偽装だったでござるの巻。

運用利回りってのは、要は株価。
株価が上がれば、少子化を止めたり、給付年齢を遅らせたりしなくても、年金問題は解決する。

が、日本人は株価が上がるのが大嫌い。 

銀行や個人が株で儲かれば叩かれ、
外国人マネーが流入してきたらハゲタカとか言われる国だ。
おまけにデフレが止まらないと来れば、
どうやって株価を上げてけば良いのか分かんない。

みんなで貧乏になろうよ、ってのが国民の選択なら、しょうがないことなのか。