長期デフレの主因は人口減少と高齢化? - DeLTA Function

高齢化の水準ではなくその後の高齢化の速さが重要だったとしても、日本の高齢化の速さはイタリアより若干速く、スペインと同程度、韓国よりは緩やかとなっています。韓国、イタリアやスペインはこれから先、日本ほどでないとしても人口は減少していくわけですが、どの国においてもデフレの兆候は全く見られません(スペインは金融危機後は大きく下げていますが、これが構造的問題のせいでないことは明らかでしょう)。


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 日本の人口減少と高齢化は確かに大きな問題で、それが構造的なデフレ要因であることに異論はありません。しかし、今の日本の長期デフレの大部分が人口減少と高齢化によって引き起こされてきたとは考えにくいのではないでしょうか。

 というのも日本が本格的にデフレに突入したのは1998年の金融不況からです。その年に突然人口が減ったとか高齢化が進んだとか、はたまた人口推計が大きく変わったとかいうことは全くありません。では1998年に何が起きたかというとその前年から始まった山一證券を始めとする大型金融機関の連鎖倒産です。大きな需要ショックが加えられた結果、コアコアCPIの上昇率がマイナスに落ち込んだのです。

 同じく2000年のITバブル崩壊のときと今回の金融危機においてコアCPIが大きく下がっていますが、これも同様に人口減少や高齢化のせいではなく、強烈な需要ショックが加えられたことが原因です。それは2008年9月以降、日本だけでなく他のほぼ全ての国でコアCPIが落ち込んでいっていることから見ても明らかでしょう。

 金融危機においてイギリスやスイスなどは迅速に対応し、一旦は大きく落ち込んだCPIをデフレに陥らせることなく安定化させることに成功しています。(参考:リフレ政策はうまくいっているか? - DeLTA Function)。政策当局の対応次第でデフレに陥らずに済ませることができるということです。一方、日本が1998年からほぼ一貫してデフレに陥ったままであるのは、バブル崩壊後、政府・日銀がやるべきことをやってこなかったからなのです。

少子高齢化はデフレ圧力の1つにすぎない。
これは長期的な構造問題であり、解決策についても魔法のような妙案はない。
また、日本の少子高齢化は、各国に比べて異常に早いというわけではない。

英国やスイスのように政策対応でデフレは解決できる。
まずはそこに注力すべき。

インフレとデフレが並存する経済~G20を受けて |  金融市場Watch Weblog

さらにクルーグマン教授は緊縮財政は短期的に債券投資家を喜ばせるだけで、それらの国々をデフレにさせて、失業率を増大させるという危険性を説いている。これは昨日に取り上げたジョージ・ソロス氏と似たような論調かもしれない。但し、このような論調に関して、個人的な見方としては少し単純すぎるかもしれない、という感じを抱く。クルーグマン教授の意見では、現状の問題がデフレ的な現象(物価下落)とインフレ的現象(金利上昇・クラウディングアウト)が同時平行的に進行する経済だったとしたらどうすればよいのか?という処方箋は示されていない。

スペインの場合であれば本来なら重債務国なのでインフレに陥る(クラウディングアウトを引き起こす)のがセオリーだが、同国の物価は民間債務に起因した慢性デフレ、すなわち民間負債の大きさに起因する需要不足という問題も指摘されている(ロイター「焦点:物価下落でスペインに忍び寄る慢性デフレの影」参照)。分かりやすくイメージすると、住宅バブルが民間債務の肥大化を招き、リセッションによって債務返済による消費の低迷、さらには需要不足による物価下落バイアスがかかっている。さらに住宅市場では供給過剰の状態となり、資産価格の下落を招いている。一方で政府は金融危機の際、銀行システムを維持するために財政支出を行うが、その見返りとして公的債務も肥大化してしまった。公的債務に対する懸念、すなわちデフォルトリスクからソブリン債が投げ売られ、金利が上昇する。そして金利の上昇から民間セクターのファイナンスもままならない。このような構図だろう。

上記のような経済において日本のように金利に低下バイアスがかかれば景気刺激策も有効かもしれない。しかし、金利を低下させるプロセスはECBによる国債買い入れ(信用緩和)もしくは財政再建の2つくらいしか思い当たらない。一方で緊縮財政を取ればデフレのリスクも大きくなっていく。従ってこの問題は二項対立として扱うべきではなく、優先順位を決めて問題にとりかかるしか無いのではないか、と思われる。その場合は金融市場の緊張こそが判断材料の一つになるのではなかろうか。端的にいえば国内の銀行のリファイナンスであろう。

 

 

グルーグマン教授の論説は以下の通り。

財政再建路線にはデフレのリスクがあり、
経済再建路線にはインフレのリスクがある。
インフレとデフレが併存する状況下において、
G20がすべて財政再建路線に向かうべきではなく、
重病国家のみが緊縮財政を図り、他の国は経済再建を優先するべき。
重病か否かの指標としては、金融市場の緊張=銀行のファイナンスを見るのがよい。

それに対して、筆者はスペインのように、
政府はインフレ、民間がデフレに向かうような状況に陥っているケースもある、と説いている。
金融緩和が出来れば、景気刺激も可能だが、
ユーロに組み込まれているスペインでは、ECBの国債買いと自国の財政再建の2つでしか金利を下げることが出来ないので、財政再建政策をとらざるを得ない。 

わが国に必要なのは「第二の道」──本質的対立を覆い隠す党派とイデオロギーを取り除け - フリーライター宮島理のプチ論壇 since1997 - BLOGOS(ブロゴス) - livedoor ニュース

生産性向上には、「前向き」「後ろ向き」がある。固定費削減などのリストラによって生産性を向上させるのは、「後ろ向き」だが必要なことだ。一方、「前向き」の生産性向上は、イノベーションによって達成される。

規制緩和や民営化を否定する菅政権は、「前向き」の生産性向上を阻害することになる。さらに、「後ろ向き」の生産性向上も否定するということだから、これからはますます、連合の有力労組である大企業の既存正社員や公務員が政治的に保護されていくことになるのだろう。大きすぎて潰せない大企業や役所だけが公的資金で生き残り、中小企業やベンチャーは倒産すれば再チャレンジも許されない状況が色濃くなる。

菅首相の「第三の道」は、生産性向上を否定し、バブルを希求する古い自民党政治の亜流に過ぎない。

管さんがそーゆー人なら、
国民からそれを支持されちゃったら、止めようはないんだけれど、

反対勢力は、 
「規制緩和=小泉竹中路線=悪」みたいなレッテルを払拭する作業をしていくところから始めないと、この壁を破れない。

守旧派のみなさんは、あぜんとするぐらい巻き返しがうまい。
郵政も再国有化まで、あと一歩だし、 
沖縄の基地問題だって、結局基地は1つも減らさずに済ましてしまった。 

それを狡猾というのは楽だが、
世論形成の巧みさは、しっかりと盗まないといけないだろう。

 

オピニオン / 社説 / 【社説】日本の「第三の道」 / The Wall Street Journal, Japan Online Edition - WSJ.com

より大きな問題は、菅首相が「第二の道」(世界2位の経済大国に市場原理主義を導入すべく市場開放を進めようとした小泉純一郎元首相が推進したような構造改革を指す)を危険なまでに否定していることだ。首相は11日、こうした改革が「行き過ぎた市場原理主義に基づき、供給サイドに偏った」ものだったと批判した。

実際、こうした改革は日本を活気づけるために必要だった、そして今も必要なものだ。小泉元首相の改革者魂により、就任当初はマイナスだったGDP成長率は退任の時には年率3%に上昇していた。失業率は7年ぶりの低水準である4%近辺に低下した。日本経済がデフレから抜けられないのは、日銀の金融緩和が不十分なためではなく(日銀は今週、最大3兆円の新貸出制度を決定した)、企業が既に抱えている現金を投資するインセンティブがほとんどないためだ。一段と機動的な動きができるよう規制を緩和し、閉ざされた多くの市場を開放してこうした企業に競争を強いれば、雇用創出を伴う成長につながるはずだ。

あなたが1000億円持っているとして、
今の日本でビジネスしたいですか?
それとも別の国でしたいですか? という話。

国民から税金を取り立てて、むりやり官製ビジネスを起こすのは手法としては下。 

 

日銀がお金を刷れば問題は解決するのか? - 藤沢数希 : アゴラ

民間の銀行が持っている国債を日銀がどんどん買うと、民間の銀行が持っている現金はどんどん増える。日銀が国債を買うと国債の値段が上がり、つまり金利が下がる。実際には短期金利のターゲットを様々な経済状況を分析して日銀が決定し、その金利水準に到達するまで国債の売買等を実行するのである。
日銀が特別な存在なのは、例えば国債を買う時に、普通の金融機関なら当然現金を用意しないといけないが、日銀はその現金を自分で刷ることができるということである。
逆に日銀が保有する国債を民間の銀行に売却すると、民間の銀行はその対価として現金を日銀に払わないといけないので、日銀は市中のお金を吸収することができる。
基本的に日銀がすることは民間の銀行との通常の金融取引だけであって、当たり前だが日銀はお金を「あげる」ということはできない。お金をどっかから税金という形で取ってきて、誰かにあげるのは日銀の仕事ではなく、政治家の仕事である。

ずいぶんと前置きが長くなってしまったが、日銀はリフレ派の学者がいうほど金融を引き締めてきたのだろうか。それは図を見れば一目瞭然で、むしろ日銀は狂ったようにお金を刷りまくってきたのが事実なのである。例えば、現在日銀は80兆円近い日銀券を発行している。これは国民ひとり当たりにすると60万円以上で、一家4人なら240万円にもなる。それだけの現生のお札が市中にばらまかれているのだ。実際のところ、金融機関には行き場のない大量の現金がジャブジャブになっており、それらが新興国の株や石油などのコモディティに流れているのである。日銀が大量に刷ったお金は世界の金融バブルに一役買ったのだ。

少なくとも筆者はリフレ派の論客には次のようなことに答えてもらいたいと思っている。日銀はあとどれぐらいマネタリーベースを増やせばいいのか。そして、マネタリーベースをどこまで増やせば消費者物価指数は上昇に転じるのか。その結果、日本国民の生活はどうのように改善するのか。

 

日本のデフレを解決するためには、まず需要を発生させることが先で、需要もないのにお金を刷ったところで、国内では吸収されず、海外を買いあさるだけになる。

需要を発生させるのは政治の仕事であって、日銀の出番はそのあと、という話。

(22.3.18) なぜ金融政策は効果がないか  新型オペと日銀の苦悩 : おゆみ野四季の道

日本には今後ともデフレが継続していく要因があり、金融緩和はデフレに対してまったく効果が無い。

日本が基本的にデフレなのは人口が低下し始め、老人人口が増加しているからである。人口減少はそれだけで需要は低下するし、若者が少なくなって老人が増えると、住宅投資が減少し、教育に金をかける必要が無くなり、衣食も何でもよくなり、レジャーも金をかけるよりも有り余った時間をかけておこなおうとする。

これらすべての要因があいまって、日本ではデパートスーパーも最近ではコンビニさえも、売上が落ち込むようになり、自動車住宅も前年度対比減少している。
だからと言って工場学校スーパー等はすぐに縮小や撤退することができないから、需給ギャップが広がり、さらに物価は低下してしまう。

国内に資金需要がなければ、日銀が金融緩和で放出した資金はすべて国外に向かうと思っていい。
そのことは最近の日本の金融緩和策の経験を見ても、また少しシミュレーションしてみてもすぐに分かる。

浜矩子同志社大学教授は、「日本が21世紀初頭におこなってきた長期の金融緩和策の結果が、サブプライムローンの肥大化につながり、リーマンショックを引き起こした」と分析しているが、今回の金融緩和策もまた同様な資産バブルを誘発する可能性が高い。

日銀は昨年の12月以降、新型オペレーションと称して、金融機関に金利0.1%、期間3ヶ月の資金を10兆円規模で供給している。
だがデフレ回避に一向に効き目が無いので、さらに10兆円規模の追加措置を発表した。

しかしこうした資金が日本の経済、特に設備投資を増大させてデフレギャップの解消に向かうかというとそうはならない。
たとえば金融機関にとってはタダのような資金を日銀が供給してくれたのだが、何しろ期間が3ヶ月では設備投資資金などには使いようが無い。

一番可能性が高いのは銀行が自己ディーリングを行い、新興国等への株式投資や、流動性が高い国債や投資信託、あるいは金や石油への投資をおこなうことである。
3ヶ月間、タダの資金があるのだ。鞘を稼ごう

日銀もさすがに期間3ヶ月では効果がないと判断したのか、期間の延長や供給金額の増加(3月17日に10兆円増額したを図ろうとしている。
しかしこれでも国内の設備投資増強には向かわないだろう。

日銀が金融緩和に消極的なのは、今の日本で金融緩和をしてもお金が海外に出て行くだけの話だから。内需を喚起する政策を国が打ち出すのが先だ、という話。

内需を立ち上げるのは政治の仕事であって、日銀の仕事ではないということ。

GDPギャップ とは - コトバンク

経済の供給力と現実需要との間の乖離(かいり)のこと。需給ギャップともいう。総需要が総供給を下回るとき、すなわちデフレ・ギャップ(逆の場合インフレ・ギャップ)が存在する状態で使われることが多い。この場合の総需要は現実の国内総生産(GDP)、総供給は完全雇用等の状況可能となる生産量が使われる。完全雇用等を前提にして算出される総供給は潜在GDPやポテンシャルGDPとも呼ばれる。なおGDPギャップ(需給ギャップ)率は(現実のGDP-ポテンシャルGDP)÷ポテンシャルGDP×100で計算され、好・不況の度合いの目安として使われる。符号プラスの時は好況または景気過熱、マイナスの時は景気停滞または不況と判断される。2006年1〜3月期のGDPギャップ率の試算値は、計測機関によって0〜数%まで幅があるが、内閣府は「GDPギャップの水準は、潜在GDPの計算方法によって大きく異なるため、絶対水準ではなく、時系列変化を見ることに意味がある」としている。

勉強Post。

今の日本は、総需要<総供給、このGDPギャップが開いている状態。

需給ギャップ、GDPギャップ、デフレギャップは同義語。

デフレギャップを解消するには、
設備や雇用=供給力を減らして経済を縮小させるか、
新しい産業を興こす=需要力を増やして、経済を拡大する必要がある。
後者については、政府が大規模な財政支出ことでも可能だが、産業やインフラの発達した先進国において、高い乗数効果を持つ分野は少ないため、砂漠に水を撒くようなことになりやすい。

#自民党時代が地方で延々とやってきたコンクリート政策みたいなものだろう。延命にはなることはあっても、再生にはつながらない。

また、そのお金も尽きてきている現状で政府は自分たちの代わりに、
日銀に金融緩和させることで、需要力を増やそうとしている(のだろう)。

昔も今も日銀は国債買切りをそんなにしてこなかったという事実 - DeLTA Function

対GDP比で見ると日銀の長期国債保有残高が大きく見えますが、これはここ20年間名目GDPが増えていないからです。名目GDPは増えない一方で長期国債の保有残高は増えていますので、長期国債の対GDP比が大きくなるのは当然です。「対GDP比で見ると日銀は世界で最も金融緩和している中央銀行だ」なんてことを白川総裁は仰ってましたが、ここは素直に量的緩和を無意味と考えているからやらないのだと言ったほうがいいでしょう。私も前回の量的緩和の効果は限定的だったと考えていますが、それは日銀が国債を申し訳程度にしか買っていないからです。2001~06年のときもちょこっと増やして緩和のポーズをとっていただけですから効果が出ないのも当然でしょう。今回の金融危機については尚更です。増やすどころか減らしているのですから。

何故、日銀が大規模な量的緩和をやらないのかというと、財政ファイナンスの支援はしないことを明確化した日銀の内部ルールである「銀行券ルール」を厳守しているためです。「銀行券ルール」を超えた緩和を行っている国は、金融危機後で見てもBOEしかありません。そして、2001~06年に行った「銀行券ルール」以内の量的緩和であれば確かに効果は限定的です。

・日本はこの20年間、名目GDPが上昇していないのだから、対GDP比の長期国債保有残高が増えるのは当然
・日銀が大規模な国債買い切りをしないのは「銀行券ルール」があるから

近隣窮乏化政策に踏み出すユーロ圏  JBpress(日本ビジネスプレス)

通貨同盟の中で今の窮状を抜け出す方法は、物価下落(より正確に言えばコスト低下)を通じた脱出である。アイルランドはその方向に向かっており、他国は大きく後れを取っている。だが、これは延々と続くプロセスであり、また何より重要なことに、債務の実質価値を膨らませる。構造改革を支持する向きは、こうした事実を無視している。

独自通貨を持たぬギリシャ(やポルトガルなど)は、
物価下落によって輸出競争力を得るしかない。
しかし、
物価下落は政府債務の実質的価値を膨らましてしまうことにもつながるので、
財政再建はすんなりとは進まない。

Electronic Journal: ●「IMF債とBRICsの狙い」(EJ第2629号)

中央銀行が国債の買い入れをするのは基本的にはタブーなのです。なぜなら、それをやると、財政支出の歯止めが利かなくなり、インフレ圧力を高めることになるからです。
米国内には、デフレになるくらいならインフレの方がマシ――こういう意見もあり、FRBが国債を買い入れることによってインフレ圧力を高めるなら良いじゃないかという受け止め方もあるようです。しかし、これはセオリーに反するのです。
3月以降、米長期金利は上昇し、米ドルは売られるようになっていったからです。専門家は、これは「悪い長期金利の上昇」であり、「悪い米ドル売り」であるといっています。

中銀による国債買い入れは、
今回のギリシャ問題のような「金融危機」レベルの事態においてのみ発動されるものであって、
リフレ政策の手段として用いるのは危険、という主張。

発砲は最後の最後の最終手段、ということ。