社会保障の思い出 - 経済を良くするって、どうすれば

公的年金の積立方式への転換論も似たようなところがあった。実は、筆者も、最初は、そうしたアプローチを取ったのであるが、早々に無理があることを悟った。積立方式にするには、貯蓄を増やさなければならないが、それを消化するには、設備投資をバブル期並みに高める必要があると分かったからである。

並みの経済学者は、年金には「積み立てが必要」とするだけで、それで生じる貯蓄が、経済全体にどう影響するかを考えない。年金制度の「戦術」しか視野にないのである。おそらく、とにかく貯蓄をすれば、市場メカニズムが働いて、投資が増大するはずくらいの認識しかないのだろう。筆者は、設備投資を伸ばすことがいかに難しいかを知っているので、とても、そんな能天気にはなれない。

緊縮財政にしても、積立方式にしても、貯蓄を余らせるような政策を取る場合には、それを吸収する投資の促進策が要る。そして、それは極めて困難であるから、現実には、自然に設備投資が出るのを待って、その範囲内でするしかない。貯蓄を余らせて、処置に困ってから、投資促進策を探すというのは、全体が見えていないのだ。

むろん、経済がインフレの状態にあるなら、遠慮なく、緊縮財政でも、積立方式でもしたら良い。ただし、それは、財政が黒字であってもすべきだし、積立が過剰でもしなければならない。経済というのは、設備投資のコントロールが一番難しいのだから、それに合わせて、運営しなければならないのである。

設備投資の水準は、労働供給量が天井となる。経済が必要とするからといって、人間の数を急には増やせないからだ。したがって、労働力が最大限に使われる水準に設備投資を持って行き、それをできるだけ保つようにする。財政や年金は、それに従属するサブシステムである。これは最大限の経済成長を持続させるということも意味する。

 

 

 

もし今の日本で、公的年金を積立方式に移行した場合(ただでさえブタ積みされてるマネーがさらに積まれるわけだから)積み立てられたお金の運用に苦しむことになるだろう、という話。

経済にとって一番大事なのは、設備投資を伸ばすための施策。