菅新首相の経済政策。第3の道は「社会主義化への道」か?|山崎元のマルチスコープ|ダイヤモンド・オンライン

最大の心配は、官製事業の連鎖的拡大だ。

仮に、5%の失業率を、3%未満に引き下げるために、増税して、2%分の雇用創出だけにそのお金を支出するとしよう。確かに、支出に対応する仕事が出来てその分の雇用が生じるかも知れない。しかし、新たな増税によって民間の需要を奪っているので、奪われた需要分の仕事が減るはずだ。

この減少分を補うためには、再度財政支出を拡大することになるが、これを再び増税で賄うと、また新たな需要の減少が生じる。すると、また同じプロセスを繰り返すことになる。

この一連のプロセスが繰り返されると、支出が雇用創出につながるとしても、民間の仕事が減って、官製の仕事がどんどん増えることになる。経済の「官業シフト」が急速に進むことになるではないか。「第3の道」とは、経済を社会主義化する道である。

また、小野氏の提唱する方式だと、失業率が3%以下になった場合は、政府が事業から手を引くということになっているが、これは難しいのではないか。民主党の「ムダの削減」がサッパリ進まないことからも窺えるように、いったん事業化された組織は、官僚がその廃止に抵抗するので、なかなか無くならない。

たとえば介護なら介護の事業体を会社形式にして、民間に売却するような民営化案件を将来に作るなら、金融業界が喜ぶ案件になる可能性があるが、形だけ民間でも、政府から受注の形でお金が流れたり、新規参入者・競争者に対する規制の形で援助を受けたりといった、国会のチェックの及ばない「隠れ官業」になる公算が大きい。

加えて、当初から、官業の効率性が心配だ。そもそも、有望な事業家のチャンスが乏しいから民間の投資が低迷しているのだ。そして、政府に民間以上に事業構想能力があるとは思えない。もちろん、政府にも事業を真剣に考える人がいるだろうから、中には成功例が出るかも知れないが、傾向として官業は非効率的であるというのは、目下、社会的に共有されている常識ではないだろうか。

何れにせよ、「強い経済、強い財政、強い社会保障を一体的に実現する」という菅氏の主張は、官業の肥大化による、日本の経済の急速な社会主義化につながるのではないか。官僚共同体は、この政権を、増税と官製事業の拡大に便利に利用することになるのではないだろうか。

そしてギリシャへ至る道。