第274回 QE2バブル崩壊へ - 堀古英司の「米国株式の魅力」 - 楽天ブログ(Blog)

金融危機後実施されたQE1(第一弾量的緩和策)は景気にも株式にも大きな押上げ効果をもたらしました。しかしQE1が大きな効果を上げた大きな要因は70兆円強に上るオバマ景気対策を伴っていたからである事を忘れてはなりません。国債が増発され、その国債をFRBが購入した(紙幣と入れ替えた)のですから、オバマ景気対策というのは広く国民に紙幣をバラ撒ける政策となったわけです。一方でQE2は財政政策を伴っていませんから、基本的には長年日本が経験して来たのと同じ。要するにその多くが銀行の準備預金としてFRBに積み上がるだけで、国民にお金を回す政策が欠けているのです。

また前号で「QE2によって長期金利が下がりにくくなるのは容易に想像が付きます」と申し上げたところですが、早速長期金利が上昇を始めました。 QE2でFRBが購入の対象としているのは9割方が短中期国債です。FRBとしては量的緩和を解除する、いわゆる出口戦略を考えた場合、満期と共に出口をむかえられる短中期国債の方が都合が良いのでしょう。長期国債を保有していて「出口」をむかえるとなると売却損が出る可能性が高くなってしまうからです。一方、市場ではそのようなFRBの事情を見透かす形で長期金利がどんどん上昇してしまっています。この結果、現在QE2が購入の中心としている5年物国債と、長期である30年物国債の利回り差は2.8%に拡大しており、これは1970年代以来最大の水準です。

長期金利が何故重要なのか。それはそもそも、QE2が必要となった原因である雇用情勢も、デフレも、住宅をはじめとする不良債権問題が背景にあるからです。住宅市場に影響を与えるのは長期金利です。従ってQE2が最もターゲットとしなければならないのは長期金利である筈なのに、その長期金利は逆に上昇してしまっているのです。QE1において、FRBが買い取る対象の殆どが住宅ローン関連証券であった事、オバマ景気対策の中で住宅市場対策が多く盛り込まれたのとは大きく状況が異なります。

さらに長期金利が重要なのは株式市場も同じです。株式というのは満期のない証券なのですから、30年物国債よりも敏感なはずです。前号でも書かせていただいた通り、短期性の資金はともかく、長期金利が上昇していく状況で、株式市場にしっかりした中長期性の資金が流入してくるとは思えません。歴史的に株式相場が大きく上昇するのは、比較的景気が良いのに長期金利が低下しているという状況です。しかもその場合は通常、金融セクターが相場のリード役になるものです。しかし現在は逆に、比較的景気が悪いのに長期金利が上昇している状況。そして相場のリード役であるはずの金融セクターは、今年4月に既に高値を付けた後低迷を続けているのです。

 

 

 

QE1とQE2は質が違う。
QE2はいわばバブルを作って、デフレを止めようという乱暴な作戦なので、QE1ほどの効果は見込めない。

個別のケースでいえば、

銀行預金をするのが精一杯の所得層にしてみれば、過剰流動性によって商品が値上がり、物価が上昇するのに、預金は低金利でふんだりけったりという状況が発生する。

株式市場には資金が流入するものの、長期金利のほうが有利と見れば、そちらに資金が移動する。そのため短期資金中心の荒っぽい相場になりやすい。

また、長期金利の上昇は住宅不況を招きかねない。

FRBは難しいかじ取りを迫られる。