量的緩和は景気を悪化させる | 行動ファイナンス小幡績 | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト

実物市場へ投資する場合には、一定のコストがかかり、リスクもある。だから、調達金利がどんなに低くても、たとえば、ゼロ金利で調達しても、0.5%で貸すわけにはいかず、どんなに低くても本当は2%から3%は必要なところだ。

さらに、日本の低金利は長期に継続しているから、優良な住宅ローンも優良企業も、もう残っていない。とことん貸しつくしているからだ。そうなると、ある程度リスクのあるところに貸さざるを得ない。そうなると、2%でも難しく、ビジネスとして成り立たせるためにはたとえば4%の金利が必要になる。しかし、それでは誰も借りてくれない。さらに、これまでの融資先の大半を占める優良企業は自分で直接、資金調達できるようになっており、融資の拡大どころか、減少となり、ますます銀行の基盤は減り、資金の運用先を探すのに苦労するようになっている。

このような状況で、量的緩和をするとどうなるか。

量的緩和(現在の量的緩和、日銀の量的緩和のオリジナルは異なることに注意が必要だ)とは、金融商品を中央銀行が買うということである。だから、証券市場で金融商品の価格は上昇する。これが量的緩和の本質で、それ以上でもそれ以下でもない。

今後さらに量的緩和が進むと皆は思っているから、金融機関を含む投資家は、資金を証券市場の金融商品にさらに回す。値上がりした金融商品はさらに値上がりする。つまり、金融商品の利回りは低下する。しかし、今後も投資資金が回ってくるから、さらなる値上がりによるキャピタルゲインが狙える。少なくとも値下がりリスクが減る。こうして、中央銀行の「買い」が、投資家の「買い」を呼び、債券も株も、そしてコモディティも、金融商品は継続的に値上がりし、長期金利やリスクプレミアムは低下する。

企業が生産活動を活発化させるのはあくまで実需であり、実需対策なき金融緩和には意味が無い、ということ。そんな状態で金融緩和だけを行うのは返って有害、という話。