デフレ脱却は信用できる確約か--池尾和人 : アゴラ

名目成長率と名目利子率が同率上昇した場合を想定すると、税収増を利払いの増加が上回り、財政収支は悪化する。これは、政府債務残高が税収規模の20倍以上になっているということを考えると、当然のことであるけれども、必ずしも直視されていない事実ではないか。インフレになれば国債問題に(ある意味で)片がつくと考えている向きが少なくないようだが、金利が統制されていた時代と金利が自由化されている時代を同じように考えるのは間違っている。

デフレ脱却によって、(私には必ずしも理解できない何らかの理由で)実質経済成長率も上昇し、GDPデフレータ1%+実質経済成長率1%で、名目経済成長率が2%増、名目利子率の上昇は1%というケースを考えても、先の財務省の試算だと、財政収支はなお悪化ということになる。なお、歳出の中には物価に連動して増大する性格のものが含まれているので、そのことを考慮すると、この結論はさらに強まる。

以上の意味でデフレから脱却すると困ったことになる立場の者が、デフレ脱却を目指すと言っても、誘因両立的(incentive compatible)ではない。それゆえ、そうした言説は、信用できる確約(credible commitment)にはならない。こうした観点からは、デフレ脱却になっても困らないような財政構造にするための税制改革等に取り組むことが先決であるように思われる。

 

財務省がデフレ脱却に本気になれないのは、
インフレが進めば、国債増の利払い増に税収増が追いつけなくなるから。

彼らにデフレ脱却の仕事をさせたいなら、
インフレによって財政がラクになるような方向へ税制を改革させるように取り組むべき、という話。

ふむふむ。