人民元の上昇容認 対ドル固定相場解除と投資戦略 - Market Hack(外国株ひろば Version 2.0)

【外圧ではない、インフレ圧力だ】
今回中国人民銀行が為替レート変動を容認する決断をした背景として米国議会からのプレッシャーなどの外圧は関係ありません。

あくまでも固定レートの維持がひきおこす、中国国内の慢性的なインフレ圧力が為替レート変動容認の動機です。

いま中国のGDPは年率12%近く成長しています。一方、アメリカの成長率は3%程度です。

普通、中国ほど急激にGDPが成長している国では金利を引き上げて物価上昇に対するガードを固める必要があります。

しかし中国ではそれが出来なかったのです。

なぜなら人民元を米ドルにペグ(固定)していたからです。

固定レートは人民元と米ドルの間で為替変動リスクが無かったことを意味します。

その場合、若し中国が実体経済の強さをそのまま反映した高い金利設定にすると「高利回りのうえに為替リスクなし」という、投資家にとって美味しすぎる状態が発生してしまうのです。

すると人民元預金のための投機資金が殺到します。

このようなホットマネーが飛び込んでくると中央銀行が為替を一定の交換レートに固定するのは至難の業となります。

そのためにも人民元預金の金利は「旨味が少ない」水準にとどめておく必要があったのです。

預金しても割に合わない状況がわざと作られていた関係で中国の人々は実体経済にお金を突っ込んだ方が得だと判断しました。

逆にそうしなければ折角稼いだお金はインフレによりどんどん目減りしているように感じてしまうのです。

去年からニンニク・バブルが起きたり、そら豆の値段が騰がったり、地価が値上がりしたのはこういうメカニズムが働いているからです。

一生懸命働いているのに、物価高で生活は苦しいしマイホームの夢はどんどん遠のいている、、、

中国の人々のこうした焦りが根底にあるからこそ、ホンダやトヨタの工場で賃上げ闘争が起きたのです。

 

 

あくまで中国は自国の都合で、人民元のドルペッグ政策を改定した、という話。

基本的には「景気過熱>利上げで冷やす」という理屈。
景気のいい国はインフレを制御するために金利を上げる。

中国は利上げのタイミングを伺っていたが、
米ドルと人民元の交換レートを固定したままでそれをすると、
為替リスクなしの、高利回り通貨キャリートレードが発生してしまうので、 
まずはドルペッグの解消を始めた、という流れ。 

すでに投機マネーになだれ込まれていたのがブラジル。
キャリートレードマネーがなだれこんで、
通貨レアルが上昇、自国輸出作業にマイナスの影響が見られるようになってきた。
そこで海外からの投資に対して課税するという措置に出た。

中国は人為的に通貨を固定したため、
景気過熱分だけ物価が上昇。
稼いだお金は貯金しようにも低金利政策でインフレ負けしてしまうので、
不動産や商品、株価に向けられ、それらのバブルが発生していた。

今後中国は、
輸出産業のダメージを最小限にしながら、
通貨と物価をコントロールして、
社会不安を押さえ込んでいくというハンドリングが迫られる。