民主党政権で初の正しい経済政策 - 池田信夫 blog

この租税競争はどこまで行くだろうか。ゲーム理論で考えれば、答は明白だ。この競争は「囚人のジレンマ」なので、税率をゼロに限りなく近づけた国に世界中の企業が集中するのが唯一のナッシュ均衡(かつ支配戦略)であり、これを避けることはむずかしい。グローバル化の拡大にともなって「底辺への競争」は加速するだろう。各国がいかに租税条約でカルテルを守ろうとしても、競争の勝利者はケイマン諸島である。

OECDなどが、タックスヘイブンを「脱税の温床だ」として取り締まるのは筋違いである。フリードマンやブキャナンなど200人の経済学者が主張するように、法人税は不合理な二重課税で、企業の資産構成をゆがめて過剰債務の原因となる。税理論としては、法人税を廃止して所得税は個人に一元化することが望ましい。正しいのは、OECDではなくケイマン諸島なのだ。

法人税の弊害について、同意できることが2点。

・現実問題として、法人税は各国によるディスカウントセールを止めることが出来ない。東京都と埼玉県の税率の差が引っ越しのコストを上回れば、移動する人が現れる。企業も同じこと。企業でいえば大規模で高収益の企業ほど、早い段階で引っ越しを決断できる。結果として国内には収益力の悪い企業が残存するはめになり、その国の首を絞める。

・節税対策が企業の資産構成を歪めて過剰債務の原因になってしまう。たしかにこれはそうだろう。税金に取られるぐらいなら使ってしまえ、の矛先が適切な設備投資、賃金、配当に回ればいいんだけれど。

前者についていえば「中国やシンガポールの税制を変えることが出来るんなら、日本の法人税を上げることに多少なりとも意味が出てくるが……」みたいなことだろう。そんな要求、今の日本政府に出来るわけがないのだから、法人税を上げることはデメリットがメリットを上回る状態になる、ということ。