勝間和代氏の落第答案 - 池田信夫 blog
問題は日銀がいくらマネタリーベースを増やしたかではなく、民間に流通するマネーストックがいくら増えるかである。基本的なことだが、マネーストック=マネタリーベース×貨幣乗数である。日銀の発行した通貨が民間で3回使われると、マネーストックはマネタリーベースの3倍になるわけだ。他方、資金需要がなくて民間で金が使われないと、マネタリーベースを増やしてもマネーストックは増えない。事実、前の記事でも紹介したように、日銀が激しく量的緩和(マネタリーベースの増加)を行なった2001~6年にも、マネーストック(図ではマネーサプライ)はほとんど増えなかった。
ゼロ金利のもとでは民間企業の資金需要が飽和しているので、それ以上マネタリーベースを増やしても、銀行の日銀口座で「ブタ積み」になり、マネーストックは増えないのだ。勝間氏が手本として推奨しているようにイングランド銀行も量的緩和を行なったが、マネーストックは逆に減少し、最近中止された。FRBもバランスシートを2倍にしたが、デフレ傾向は止まらなかった。資金需要がないため、貨幣乗数が急落して1を下回ったからだ。
同様の事態は、欧米諸国で一様に観測されており、量的緩和を再開した日本でも銀行貸し出しは減った。ここ1年半に世界で大量に供給された資金は、金融システムの安定化には意味があったが、狭義の金融政策としての効果は疑わしい、というのがIMFの総括である。
リーマンショック以降の流れは、
金利のゼロ制約が発動している状態=民間の資金需要が飽和=中央銀行がお金をバラまいても誰も借りてくれない=お金は市中銀行にジャブつくだけ=投機に流れる=過剰流動性相場
と、言い換えることが出来るのかも?
それはさておき池田氏の論旨は「今の日本経済においては量的緩和政策をしてもインフレを起こせる確率は低い」ということだと思うのだが、他に策がないなら、低くてもやってみたらいいんじゃないかと思うのだが、どうなんだろ?
現時点で、日銀が量的緩和をすることのデメリットが、自分にはまだ理解できない。
